陸上自衛隊に入隊する人たちのタイプについて

出典元:陸上自衛隊福島駐屯地Twitterより引用(https://twitter.com/jgsdf_fukushima/status/1382113873663250436/photo/3)

前回の簡易テストの回答はふざけているように見えますが、自衛隊の広報官は人員採用のためにあの手この手で「キミは自衛官にぴったりだ」と言ってきます。そのため、自衛隊ではよく「地本(地方協力本部)のオヤジに騙されて入隊した」とぼやく人も多いです(一種の定型化した冗談になってます)今回はどんな人達が実際に入隊をしてくるのかを説明をしていきます。

陸上自衛隊に入隊する人たち

陸上自衛隊に入隊をする人たち当たり前ですが「普通の人」が多いです。最初から「〇〇を実施します!!」といった自衛官口調で話すわけでもありませんし、「国を守るために~」と愛国心にあふれれたタイプの人たちばかりではありません。もちろん熱い気持ちを持って入隊する人も多いですが、それと同じぐらいなんとなく自衛隊に入隊したというパターンが多いです。ここでどんなタイプの人が自衛隊に入隊をするのか紹介していきましょう。

「安定を求めてタイプ」

このタイプは「自衛隊は公務員で安定しているし、お金が貯まる」という理由で入ってくるタイプです。学生時代に高校や大学にやってくる自衛隊紹介ブースにふらっとやってきて、地方協力本部のおじさんにほだされて入隊することが多いです。両親も友人も「まあ公務員だからいいんじゃない」という感じで民間企業に入社する気持ちできます。特に癖がなく、THE普通の人という感じです。ただ勉強熱心だったり、真面目なので業務はそつなくこなしていきます。良くも悪くも生真面目な日本人というタイプといえるでしょう。

「官品タイプ」

陸上自衛隊において官品とは2つ意味がある言葉になります。「自衛隊から貸与される支給品」と「親が自衛官の隊員」を指す言葉になります。実は陸上自衛隊には「親が自衛官」の隊員がかなり多いです。彼らは小さい頃から自衛隊の官舎に住み、高校生になると親から「自衛隊はお金貯まるからいいぞ~」と言われて入隊をします。中には「家族全員自衛官」という家庭もあります。彼らは入隊する前から自衛隊のことをよく知っているので耳年増なタイプといえるでしょう。

「運動部タイプ」

このタイプの人たちは「学校の先生に勧められて~」と入隊をしてきます。九州や北海道の田舎出身の人に割と多く、体力があり体育会系社会になれているので「部隊が求める新隊員No.1」になります。新隊員教育でも体力があるので周りの同期をサポートし、リーダー的な役割を担うことも多いです。なお強豪校の野球部出身者などは「割と自衛隊楽ですね。野球部のほうがきつかったです」といい、周りを驚かせることもあります。部隊配属後もキャンプにサーフィンにと自衛隊生活をエンジョイします。体育系社会に慣れているので自衛隊入隊後もそつなくこなしていくタイプといえるでしょう。

「ミリオタタイプ」

このタイプの人たちは高校や大学で「ロシアの戦闘機MiG-29の最大出力は~」と教室の隅っこやSNSで、日夜熱いレスバトルを繰り広げているタイプです。「好きなタイプは?」と聞くと「こんごう型(護衛艦)かな?」と護衛艦のタイプを答えるギャグを言ってくれるでしょう。サバゲーを嗜んでいる人達も多く、入隊後に小銃を渡されて「これが実物か...マルイ(エアガンメーカー)のものと酷似している」とボソっとつぶやきます。彼らは平日は訓練をして、休みの日はコールオブデューティーやバトルフィールドなどのFPSゲームをしたり、サバゲーフィールドで迷彩服を着てエアガンで戦います。基本的にマニアックなので弾薬や戦車を覚える筆記試験では満点を取ります。まさに趣味と実益を兼ねているタイプといえるでしょう。

「破天荒タイプ」

このタイプは「元暴走族」などの不良少年などが該当します。現在にはあまりいないタイプです。昭和の時代は好景気かつ自衛隊の地位が現在よりも低かったため、不良少年たちが入隊することが多かったです。警察官から「鑑別所行くか、自衛隊に行くか選べ」と言われて自衛隊に入隊をした隊員がいるという話があるぐらい、当時の自衛隊は不良少年で溢れていました。その不良少年たちが自衛隊で更正することも多く、いつもニコニコしている曹長が昔は暴走族だったという話は比較的あります。ただ昔のまんまの風貌を残しているベテラン陸曹もいるので要注意です(実はそういう人ほど優しかったりしますが)なお彼らは負けん気が強いので実戦的な対抗演習などでは強いです。訓練よりも実戦で能力が発揮できるタイプです。

「愛国者タイプ」

このタイプの人たちはいわゆる保守派で愛国者と言われる人たちに多いです。国防に対する意識は人一倍高いので、一緒に入隊した新隊員の同期たちを「俺はこんな奴らと違う」と見下すこともあります。ただこのタイプは意識と実力が乖離していることも多く、なかなか上手くいかない姿をたびたび見かけます。陸上自衛隊の訓練は厳しいので破天荒タイプの同期に「屁理屈こねてないで早くプレス(アイロン)しっかりできるようになれよ!」と怒られてションボリして、運動タイプの同期に「どんまい」と慰めれているような立ち位置になりがちです。「ミリオタタイプ」を兼ねていることも多く、趣味のサバゲーで日本軍の格好をしていることもあります。

「ギャグ要員タイプ」

このタイプの人達は「俺が陸上自衛隊に入ったら絶対ウケるでしょ!」というノリでやってきます。高校や大学でも「笑いが取れるなら全裸になる」「マヨネーズを一気飲みする」という少し頭のネジが外れている人たちです。彼らはまず自衛隊の戦闘機や戦車の名称も知りませんし、小銃を渡されて「ライフルかっちょええ」というタイプです。舐め腐っているように見えている彼らですが、課された課題に対してはそこそこ真面目な人が多く、持ち前のギャグセンスで部隊で可愛がられます(ただ怒られることも人一倍多いですが)ある意味部隊でヒーローになれる素質がある人達です。

「人生それぞれタイプ」

このタイプの人たちは高校や大学を卒業し、何年か経ってから入隊をします。理由はそれぞれで「人の役に立つ仕事したい」「ブラック企業が嫌になった」「元コンビニバイト」「元ホスト」「元お笑い芸人」など様々です。社会人経験に辛い経験がある人達が比較的多いので入隊後に「辛いけど前の会社より全然いい」と言っている姿をよく見ます。元銀行員の自衛官がビジネスマナー講座をやることもあるので、多様性をもたせるためには彼らが必要と言えるでしょう。

【入隊するのは多種多様な人たち】

実は陸上自衛隊は多種多様なタイプの人がいます。この傾向は自衛官候補生も防衛大学校、一般幹部候補生もほぼ同じです。みな陸上自衛官であることを演じているだけなのです。一方で「自衛隊に安定を求めて入隊するなんてけしからん!」「偏った愛国心がある人が自衛隊に入隊するのは危険」といった意見もあると思いますが、現在の陸上自衛隊は入隊試験がありますので志望者が全員が入隊できるわけではありません。また何となく入隊したギャグ要員が災害派遣に参加した後に気持ちが変わり、幹部自衛官になることもあります。言ってしまえば入隊理由は何でもよく、しっかりと自衛官としての任務ができることが大切なのかと思います(すべての職業に言えると思いますが)

自衛官はみんな同じように見えますが、当然ながらバックグラウンドや考え方が全然違うので「自衛官」という人間はいません。自衛官はスーパーマンではなく、そこらへんにいるお兄さん、お姉さんが入隊して頑張っているのが自衛隊です。みなさんが考えているほど聖人君子でも好戦的でもありません。その点を自衛隊を理解する上で留意してほうがいいでしょう。

さあキミも入隊しよう!

おわり

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