防大・自衛隊の思い出をつづります。

砂川文次「小隊」について(書評)

出典元(砂川文次「小隊」より引用)

第164回芥川龍之介賞候補作として挙がった砂川文次「小隊」を読みました。まず一言言います。

傑作でした。

作品に引き込まれて喉が渇きました。
思わず書評をしたくこの記事を書きます。

小説「小隊」について

この作品は道東のロシア軍上陸が主題のテーマであり、一般大学を卒業し幹部自衛官となった若手幹部が主人公です。まだ役職は小隊長であるものの実務経験は1~2年ほどなく、周りの古参陸曹に助けられて小隊運営をしている「坊ちゃん小隊長」という立ち位置になります。

なおロシア軍の侵攻理由も全面戦争ではなく、ロシア内での内紛と日本の政治的空白を狙った進行という内容であり、自衛隊もロシア軍も「なぜ自分たちが戦っているかわからない」といった設定であり、「政府は平和解決に向けて鋭意努力中」という情報だけ持って戦います。

またスマートフォンなどの情報端末は携行できず、現場の小隊に下達される情報は常に断片的です。わかっていることは「国道44号線に機械化歩兵大隊がやってくる」ということぐらいで、その機械化歩兵大隊も「教範通り」の編成かどうかもわかりません。

そうした情報がない中で上陸してきたロシア軍とにらみ合いを続け、「もう戦闘はしないんじゃないか」と思っているところでロシア軍は動き、主人公たちの小隊は戦闘に突入していきます。

また「小隊」については英雄は一人も登場しません。砲撃による破裂音、空爆、遊撃に怯え、大小便漏らしながら戦う臆病者のみが登場します。最前線で陣地を蹂躙され、敵と交戦するよりも敵の砲迫射撃でもみくちゃにされたり、敵の機関砲で仲間がバラバラになったりともうめちゃくちゃです。

戦闘描写よりもほぼ陣地を蹂躙されている描写ばかりです。砲迫を要請しても「現戦力で食い止めろ」しか言われないという救いようのなさです。

現在の陸上自衛隊の戦術を自衛官経験がある作者がリアリティを持って描き、登場する小説に隊員たちも誰一人として名誉や誇りを口にする者がなく、現実の不条理に対して肉片になる者、戦意喪失する者、ただ官僚的な義務感で戦っている者など心情の描き方も特筆すべきがあるので、ぜひおすすめの小説です

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(ここからは余談)

今日は「小隊」に感化されて今日は戦争シミュレーター「ARMA3」対ロシア戦闘で戦ってきました。

84mm無反動砲とMinimi
とりあえず木の陰に掩蔽させる。
鬼畜なT90くん
戦車に続く、装甲車と近代歩兵くん
84mm無反動砲で2台撃破するが小説のようにこの後陣地を蹂躙された

おわり

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