陸上自衛隊がテーマの漫画について

警察・消防と比較して、あまり漫画として描かれることが少ない自衛隊ではありますが、テーマの漫画は実はいくつかあります。この記事ではその中でも私が面白いと思った陸上自衛隊の漫画を紹介します(なので今回はみんな大好きかわぐちかいじ作品は紹介しません)

右向け左(講談社)

次に紹介するのは「右向け左」です。右向き左の原作者については北斗の拳の原作者である「武論尊」です(史村翔は別ペンネーム)この作品は航空自衛隊生徒として入隊し、航空自衛官として勤務をしていた経験がこの作品のもとになっています(なお武論尊と本宮ひろしは航空自衛隊生徒の同期)

内容としてはチンピラの先輩の彼女に手を出し、主人公がその彼女の夢である美容院の開業資金を稼ぐために入隊するというストーリーです。この入隊理由に一ミリも国防や愛国心がないのがこの漫画の特徴なのです。また同期もいじられっ子のミリオタ、ヤクザみたいな訳あり料理人、相撲部屋から逃げしてきた力士などもうメチャクチャです。また班長は隊員をいびり、万年陸士長のアラサー隊員、防大卒の区隊長はやる気ないなどバブル時代の陸上自衛隊がよく描けれています。

陸上自衛隊の厚生センターに行くと美味しんぼの隣にこの作品が置かれていることがあり、外出できない隊員が心を癒やすために読んでいる姿を見かけることができます。

陸上自衛隊の一昔前の営内事情等を知りたい方におすすめしたい漫画です。

救いようのないバブル時代の自衛隊ライフ

RAID ON TOKYO(ゴマブックス株式会社)

まずご紹介したいのはミリタリー漫画の大御所の小林源文先生の「RAID ON TOKYO」です。こちらの作品はソ連の日本上陸とそれに対抗する自衛隊の姿が描かれています。物語の中でメインキャラクターはそれぞれおり、各立場から見た作戦行動が描かれています。会計科なのに有事という理由で普通科小隊長になる若手幹部、あまり事態を深く考えていない若手隊員、苦悩する幕僚長などそれぞれの人間のストーリーもまた魅力と言えるでしょう。

なお源文漫画にはこの手の漫画にありがちな「愛国心」に燃え、「使命感」を持った自衛官があまり登場しません。みな組織の命令に従い、戦い、不条理に死んでいく姿が描かれていますので、ストーリーにリアリティがあります(人によっては読んでいて気持ち悪くなる場面と多いと思います)

実際に有事の際に日本や自衛隊はどうなるのか?ということに興味がある人にぜひおすすめをしたい一冊です。

ライジングサンR(双葉社)

ライジング・サンRは新隊員教育を描いた「ライジング・サン」の続編です。双葉社得意のドキュメンタリー風漫画になります。前作のライジング・サンは「いや~、たかだか新隊員教育なのにシリアス過ぎでしょ」という印象でしたが、レンジャー教育編である「ライジング・サン R」はキツい訓練に挑む隊員たちの心境などが上手く描けれています。私はレンジャー経験はないのですが、読んでいたドキドキする名作だと思います。

教官が定規を持ち、数ミリの整理整頓を行ったり、怪我で涙ながら原隊復帰する隊員など教育のシビアさがよく描かれています。

まりんこゆみ(講談社)

まりんこゆみは在日米軍の「アナステーシア・モレノ」氏原作の漫画です。アメリカ軍をモチーフにしたアメリゴ軍にJKが就職するストーリーですが、割と自衛隊が登場します。特に米軍から見た自衛隊の作戦行動に対する意見等が非常に面白く、「あっ、こんなことまで漫画に書いてあるんだ」というシーンが登場します。

総カラーの作品なので少し1冊あたりの単価は高くなっていますが、日米の比較論という意味でもおすすめしたい一冊です。

野上武志、モレノ,A(著)

突撃め!第二少年工科学校(講談社)

最後に紹介したいのは「突撃め!第二少年工科学校」です。はっきり言います。これは怪作・奇作です。上の作品たちと明らかに一線を画しています(もはや第二少年工科学校だけで記事が書けるレベルです)

この漫画の作者は実は伝説のヤンキー漫画を描いた「疾風伝説 特攻の拓」の所十三であり、作品を一言で言うと「自衛隊×特攻の拓」です。はっきり言って超異色な漫画なのです。

不運(ハードラック)と踊(ダンス)っちまったんだよ 出典元:疾風伝説 特攻の拓(講談社)

またストーリーもめちゃくちゃであり、「少年工科学校」を目指していた主人公が入校したのは「第二少年工科学校」というチンピラと不良しかいない修羅の学校であり、新入生が上級生をボコボコにするなど普通に下剋上が始まるマッドな世界です(当時の防衛庁担当者が顔をしかめそうな内容)

いきなりボコボコにされる人たち 出典元:突撃め!第二少年工科学校(講談社)

さらに鉄条網が張り巡らされた土俵でデスマッチ相撲をしたり、北斗の拳に出てきそう先輩が登場したりともはややりたい放題です。個人的には非常に好きな漫画でありますが、早々に掲載打ち切りとなりました。一時期は絶版になり、幻の作品になったこともありましたが電子書籍で近年復活しました(歓喜)

この狂った世界を確かめたい人は読んだほうがいいと思います。

まとめ

陸上自衛隊をテーマにした漫画はいくつかあり、それぞれ面白さがあります。ぜひ自衛隊に興味がある人は読んでみてもいいと思います。他の紹介記事も気になる人はぜひ読んでみてください。

2 COMMENTS

ぱやぱやさんはじめまして!
テレビの災害派遣の様子などでしか知らなかった自衛官の皆さんを身近に感じられる記事やツイートを、いつも楽しく拝読しています

先日、ぱやぱやさんがTwitterで紹介されていた、『独学大全』を購入して読み始めました。
ちょうど社会人学生なので、今この本を知ることができて良かったです。ありがとうございました。

自衛隊漫画は右向け左!だけ読んだことがあります。
ギャグが面白いのに、山口班長の生い立ちや苦労するエピソードがところどころリアルで切なかったです
『RAID ON TOKYO』も気になるので読んでみます。

これからも更新楽しみにしています!

返信する
ぱやぱやくん

コメントありがとうございます!本はたくさん読んでおくと助かること多いですよ!今後とも頑張って行進していきますので、どうぞよろしくお願い致します!

返信する

ぱやぱやくん へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です