知られざる陸上自衛官のアフター5②

陸上自衛官は一般のサラリーマンとは異なり、アフター5こそが修行の場でもあるです。修行と言っても色々な種類の修行をする隊員がいます。今回はアフター5に修行をする、ますらお系隊員について解説をしていきましょう。①を見ていない方はこちらからどうぞ。

知られざる陸上自衛官のアフター5①

筋トレマニアのときめきアフター5

一般的な駐屯地の場合は体育館の2階にささやかな筋トレ場があり、好きな時に身体を鍛えることができます。そこで筋トレ好きな隊員は課業終了後に駐屯地内にあるジムに早歩きで直行します。彼らが急いでいくには理由があります。それは「良い筋トレマシン」は他の中隊の筋トレマニアに先を越されて使用されるからです。放課後に小学生たちが公園の人気遊具を争い、他校の小学生と熱いバトルを繰り広げるように、筋トレマニアたちも我先にと向かうのです(この戦いに負けると、公園の地中に埋まっているタイヤと同じぐらい人気のない錆びたダンベルで身体を鍛えるしかありません)

公園にあるタイヤの遊具の写真

ただ「駐屯地のトレーニング機材じゃ足りない!」という部隊は、訓練費や有志のカンパ等で「最新式の筋トレマシン」を購入して中隊の中央廊下あたりに置きます。このようなマシンを設置した場合、どこからともなく他部隊のますらお系隊員がやってきて、勝手に鼻息荒くデッドリフトしている場合があります。これは飼いネコのためにエサを準備したのに、知らない野良ネコがエサを食べていることと同じぐらい由々しき事態です。

野良猫の餌付けのイラスト

このような事態を防ぐために「このウェイトマシンは3中隊の隊員有志で購入したため、3中隊所属隊員以外の使用を禁ずる」等の注意書きが書かれている場合があります。しかし「その隣にあるランニングマシンは業務隊のお金で買ったから誰でも使っていい」など見えないテリトリーが発生していることがあります。そういった理由から筋トレ好きな隊員は、フリーWiFiを探す感覚で駐屯地内で使用できる「フリー筋トレマシン」を細かくチェックします。こうしたところにマッチョの世界特有の細かさが発揮されています。

また駐屯地によっては本格的なトレーニング施設があるところあります。有名なのは富士駐屯地の「和楽館」です。ジム、温水プール、ボルダリング、大浴場などがあり、ロビーには横山光輝の「三国志」まで完備されており、まさに陸上自衛官の夢と希望がつまったユートピアといっても過言ではありません。このような施設は陸上自衛隊の魅力化のため様々な駐屯地に作られるはずでしたが、結局予算の関係で私が知る限り、名寄と岩手と富士の駐屯地にしか作られなかったようです。バブル時代のドリームが陸上自衛隊の予算に反映をされていた名残ですね。

例外的にオリンピック選手を育成する「体育学校」にはゴールドジムにもない最新の機材があります。それを聞きつけた野良マッチョたちがどうにかして使おうと試みることがあります。しかし基本的にはオリンピック候補選手たちが使用するためのものなので、野良トレーニングしていることがバレるとゴリラみたいな体育教官にたっぷり可愛がられてしまうので気を付けましょう。

陸曹候補生試験に向けて勉強をする

一兵卒で入隊をした陸士隊員が自衛隊に定年まで残りたい場合は、陸曹に昇任する必要があります。陸曹候補生になるための一次試験の科目は筆記試験と体力検定があり、どちらも合格点に達しなくてはいけません。そのため彼らは日々課業外の時間を使って努力し、陸曹に向けて奮闘をします。

なお陸曹候補生になる試験の体力検定は厳しく、腕立て伏せの姿勢などもふだんより厳しくチェックされます。部隊であれば腕立て伏せをする際、腕を曲げずに腰をヘコヘコと動かし、大地と交尾するような姿勢(通称 グラウンドファッカー)になってしまっても「うーん、まぁギリギリOK」とカウントされます。しかし陸曹候補生試験の審査は厳しく、地面とファックすると「ノーカウント」「ノーカウント」と容赦なくダメ出しされてしまいます。自分では60回やったつもりが姿勢が悪かったために「27回 不合格」と死の宣告をされることも多発します。

陸上自衛隊第13旅団Twitterより出典(https://twitter.com/13b_jgsdf/status/1116486907850940417/photo/1)


陸曹にならずに退職するの陸士であれば「体力検定に受かるように努力しろよ」と班長から言われるぐらいです。しかし陸曹への昇任を希望し、自衛隊に残る意思がある場合は体力検定への合格は必須です。どんなに頭が良くても体力検定に合格しない限りは絶対に陸曹にはなれないのです。

そうした彼らを陸曹に昇任させるために、部隊の陸曹がスペシャルメニューを考えトレーニングを行います。今では体力検定の種目は「腕立て、腹筋、3000m+戦技に直結する体力検定」と優しくなっていますが、昔は「腕立て、腹筋、3000m」に加えて「ソフトボール投げ、走り幅跳び、懸垂」という関門がありました。特に「ソフトボール投げ」と「走り幅」はコツが必要なので、合格できない隊員が一定数います。基準点に達しない隊員の場合、終礼終了後はキャッチボールと走り幅跳びを練習するので、野球部と陸上部を掛け持ちしている小学生みたいに忙しくなります。

一方で「体力検定は余裕で合格できるのに筆記試験は合格できない隊員もいます。彼らは夜な夜な自衛隊法、数学や漢字、英語などをみっちり勉強させられます。自衛隊の筆記試験には一般的な高校を合格レベルの基礎学力が求められるので、勉強をまともにやってこなかった隊員は苦戦します。多くの場合において勉強は「因数?分解?」というレベルから始まりますが、陸曹になりたい隊員達は消灯延期申請を出し、夜24時ぐらいまで必死に勉強します。「まるで大学受験だ」と言いながら自慢の筋肉を揺らしながら彼らは勉強します。

どちらのパターンも苦手な事に挑戦しているため伸び率はあまり良くないですが「向き不向きよりも前向き」の姿勢が大切です。「向き不向きよりもムキムキ」では筆記試験に受かりませんから。

つづく

今回はここまでです。
ネタはまだまだストックあるので、
「面白いです~」という更新されますよ。はい~

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。