陸上自衛官のアフター5に欠かせないのがお風呂です。1日の厳しい訓練後の入浴はやはり気持ちいいものです。今回はアフター5のお風呂について解説をしていきましょう。
バックナンバーは下記からご覧ください。
知られざる陸上自衛官のアフター5①
知られざる陸上自衛官のアフター5②
知られざる陸上自衛官のアフター5③
知られざる陸上自衛官のアフター5④
目次
駐屯地のお風呂には当たり外れがある
一般的な駐屯地の場合、お風呂の入浴時間は1730~2130となります。
この時間であれば基本的にはいつでも入浴可能です。
また駐屯地にはお風呂の他に各部隊のフロアにシャワー室が設けられています。入浴時間を過ぎてしまったり、お風呂に行くのがめんどくさい人などはシャワーで済ます事も可能です。しかし基本的には浴槽に使って体をよく温めることを推奨されます
理由はお風呂とシャワーでは疲労の取れ方が異なり、ケガ予防にも役立つからです。
陸上自衛隊では大怪我をすると訓練に参加ができず、昇任に大きな影響を及ぼします。
実際にアキレス腱を切ってしまったために、退職せざるを得なくなる陸士隊員も存在しますので、陸上自衛官にとっては「風呂に浸かるのも仕事のうち」と言えるでしょう。
一般的な駐屯地の場合、大浴場は駐屯地の隊舎が密集しているエリアの中央部辺りにあります。しかし隊舎が密集しているエリアの真ん中にあるので、うっかり浴場の窓を開けてしまうと、ますらお達のセクシーシーンが丸見えになることもあります。男性隊員も「まぁ、見えちゃってもしょうがないかな」という感じです。スーパー銭湯の男湯に、清掃のおばちゃんが来ても特に何も思わない感覚に似ています。そもそも陸上自衛隊には女性隊員が全くいなかった時代もあったため、「裸を見られないようにする」という設計志向を持ち合わせていなかった事もあります。
ただ女性隊員の浴場については駐屯地の奥まったところに作り、浴場の周辺に目隠しを厳重に設置しています。今後入隊を考えている女性についてはご安心ください。
余談ですが、駐屯地の資料館などのにいくと「自衛隊のお風呂」と書かれた写真が掲げてあります。そこに陸上自衛隊創設当初のレガシーますらおが、裸で浴場にスシ積めになっているような写真もありますのでお好きな方は見るのも良いでしょう。(もちろん大切なとこは隠されてますが)
陸上自衛隊のお風呂は大きいの?
陸上自衛隊の大浴場の大きさは駐屯地によって全く違います。所属隊員が多い駐屯地には大きな浴槽があるのが一般的ですが、部隊の人数が多いのにやたらと浴槽が小さい駐屯地もあります。その場合は「ゴールデンウイーク期間中の板橋区にあるスーパー銭湯」ぐらい密になってしまいます。
東北や北海道の部隊などは大浴場ではなく、隊舎と隣接して小ぶりな浴場がいくつも設置されていたりします。これは氷点下の雪の中を風呂上りに歩かせない配慮となっています。また雪国にある駐屯地のお風呂は妙に熱いが多いです。これは熱いお風呂で体をポッカッポカにするのが雪国の人の楽しみとなっていることに関係しているようです。
ある雪国の駐屯地にいった際、とても入れないぐらい熱いお風呂がありました。仕方がないので水で薄めようとしたら「薄めるの禁止 これは熱いお湯が好きな人専用です。温度が下がると、先任陸曹(こわい)が怒るため、隣の浴槽が若干ぬるめですのでそちらを使用されてください」と注意書きが書いてありました。まるで銭湯のベテランのおじいちゃんだけが入れる強烈に熱い浴槽みたいな感じでした。ちなみに自称「ぬるめのお風呂」もかなり熱かったです。
また駐屯地のお風呂の温度は、「駐屯地のボイラーの能力」と「ボイラー技士の塩梅」で温度が決まります。良い湯加減の駐屯地もあれば、ぬるい上に臭くてヌルヌルするお湯もあります。やはり、いいお湯を出してくれるお風呂は人気があります。なお駐屯地にはボイラー室から蒸気を送るため配管が張り巡らされています。古い隊舎の場合はそこらじゅうから「プシュープシュー」蒸気が吹き上げるため、謎のスチームパンク感があります。
なお例外的にはなりますが湯布院駐屯地のお風呂は天然温泉です。「なんと贅沢な!」と思う人もいると思いますが、あそこの地域は温泉が湧き出るので維持管理のコスト的にはほぼかからないようです。
次に駐屯地の浴場の雰囲気ですが、これもまた多種多様です。昔ながらのタイルアートで富士山が書かれているところや、風呂場から中庭を眺められるところや、ラジオを流してくれるところもあります。ラジオから流れてくるサザンオールスターズの懐メロなどは風情があって最高です。大浴場のラジオ番組のチョイスが悪いとなぜか風呂に入りながら「関越道のトラフィックレポート」や「地元の落語家のよくわかない漫談」を強制的に聞かされることになりますが、それもまた一興でしょう。
そして浴場の施設ですが、これもまた千差万別です。駐屯地にはサウナ、水風呂、ジェットバスがあるところもありますが、多くの場合「燃料費の高騰でサウナが運営できない」、「故障したジェットバスを修理するお金がない」などの理由からサウナやジェットバスが「忘れ去られた古代文明の遺物」のようになっている事が多いです。
サウナがまだ使用できる駐屯地には、サウナと水風呂の交代浴を1時間行って「ととのっている」隊員たちがいます。彼らは風呂上りに隊員クラブに直行し、ビールをグイッと飲み「くぅー。これだから陸上自衛隊はやめられねぇ!」と顔をしかめて言います。サウナがある駐屯地に配属されたら、ラッキーだと思いましょう。
なお自衛隊体育学校にもサウナがありますが、これはあくまでボクシングやレスリングのオリンピック候補生達が過酷な減量をするために使用するものです。間違ってもサ道部のオリンピック候補生のためのものでないので注意しましょう。
ちなみに演習場にもお風呂があります。ただ駐屯地のお風呂より圧倒的にボロボロである事が多く、旧日本軍から使っているお風呂もあります。この旧日本軍から使っているお風呂はやたらと深いことが多く、なぜ深いかといえばこれは軍馬を洗うフロだったからです。旧日本軍は人間より馬のほうが良い施設を使う事も多かったので、馬用の施設だったところは、令和になっても使える人間が使える施設が残っているそうです。まるで馬並ですね。
教育隊の風呂は修羅場だ!
さて、今までの話は一般部隊のお風呂事情の話でしたが、集中的な教育・訓練を行っている教育隊のお風呂はまた一味異なります。
なぜならレンジャー、幹部候補生、陸曹候補生などは修行の身であり「食事5分」「フロ10分」ぐらいの時間間隔が当たり前になるからです。風呂場はみんなが入れる10分ぐらいの間に、汗まみれのますらお達がなだれ込みます。その様子は通勤時間帯の中央線であり、マッチョの通勤ラッシュと言っても過言ではないでしょう。
ただ、ここで問題になるのが「脱衣スペース」と「荷物置き棚」の問題です。脱衣所の棚は少なく、場所も狭いので、服を脱ぐのも一苦労になります。男たちが入り乱れる脱衣所で、頑張って自分が脱衣できるスペースと荷物置きを探す必要があります。
そこで裸になった密集する男たちの間を掻い潜り、何とか服が脱げそうなスペースに移動します。ちょっと間違うと他人のイチモツに接触します。同期はこの状況を「ヤマザキ春のチンポ祭り」と言っていました。こうした状況にならないように、できる限り早くご飯を食べ、ラッシュ時間が始まる前に浴場に行く必要があります。
運悪くラッシュに巻き込まれ、チンポ祭りが開催された場合は、荒ぶる男たちのイチモツを避けながら、慎重なステップで脱衣スペースまで移動する必要があります。その姿は昔、放送をされていた「ウッチャンナンチャン炎のチャレンジャー」のイライラ棒さながらと言えるでしょう。
また何とか浴室に入っても、洗い場のシャワーは埋まっている事が多いです。しかし訓練が終わった陸上自衛官はカブトムシみたいな匂いがし、体を洗わないで入ると「陸自名物カブトムシの湯」になってしまうので、身体を洗わずに入るのはご法度です。
そうしたときは浴槽のお湯に直接風呂桶を入れてを体を洗います。入浴というよりも「ジャガイモ丸洗い」という感じですが仕方ありません。なお入浴時間10分は「浴槽に入れる時間が10分」ではなく「浴場に入って、脱衣して、体を洗って、入浴して、体をふいて、着衣して、浴場をでる」までが10分なのです。そのため入浴は「サッと湯通し」みたいな感じなります。博多ラーメンで言えば「粉落とし」です。ただ仕方がありません。これが修行です。
なおレンジャー教育を受けている学生はさらに時間がないので、レンジャー教育専用の浴槽などが用意されています。レンジャー学生がくると、隊員たちはレンジャーのために道を開けます。マッチョのレンジャー学生達がチンポの海を割り、浴場になだれ込んでいきます。この姿をみてやはり「ありがたい、ますらおの権化じゃ」と隊員達は心の中に思うのです。
つづく
今回はここまでです。
ネタはまだまだストックあるので、
「面白いです~」という更新されますよ。はい~